Bitcoinに関する情報 | |||
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シンボル | BTC | 正式名称 | Bitcoin |
カテゴリ | 暗号通貨 | 対応取引所数 | 457 |
現在価格 | 5,349,806円 ($49,924) | 取引量(24h) | 6,876,699,167,082円 ($64,172,856,849) |
最大発行枚数 | 21,000,000枚 | 循環流通枚数 | 18,644,368枚 |
時価総額 | 99,744,462,456,417円 ($930,808,074,510) | 還元方式 | |
暗号方式 | SHA256 | 承認方式 | PoW(Proof of Work) |
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BINANCEに関する情報 | |||
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取引所名 | BINANCE | 取扱通貨数 | 141 |
開始時期 | 2017年07月 | CEO名 | 趙昌鵬(Zhao Changpeng) |
所在地(登記地) | HKG | リファラル報酬率 | 20% |
リファラル期間 | 無期限 | 日本人対応 | |
BINANCE 還元/配当情報 | |||
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償却(=バーン)周期 | 償却(=バーン)対収益償却率 | 20% | |
通貨支給:周期 | 通貨支給:対収益還元率 | ||
配当額総計 | 7767657867.0704 | 1枚あたり配当額 | 50.265154363251 |
Binance Coin 独自トークン | |||
シンボル | BNB | 正式名称 | Binance Coin |
現在価格 | 26,158円 ($244) | 取引量(24h) | 436,800,728,610円 ($4,076,192,654) |
カテゴリ | 取引所トークン | 対応取引所数 | 139 |
TVR[?] | 1.5558 | 最大発行枚数 | 170,533,652枚 |
循環供給枚数 | 154,533,652枚 | ||
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暗号資産市場におけるファンダメンタルズ情報(以下「ファンダ」)にはどんなものがあるのでしょうか?
…などなど、日常的によく起こっているものから、見落としてしまうと、下手すると資産価値が限りなくゼロに近くなってしまうものまで様々なものがあります。
そして、上記以外にもFUD(Fear/Uncertainty/Doubt)と呼ばれる「風説」がファンダを装って流布されることもしばしばあります。
今回ご紹介するのは、この中でも相場(というかビットコイン)暴落の直接的なトリガーではないものの、そのビットコインを「取り扱う」という意味では間接的に影響力のある取引所の【ハッキング】に起因した暴落について振り返ってみたいと思います。
その暴落は、2018年3月6日から3月10日かけて発生しました。
価格としては取引所によって多少差はありますが122万円から93万円と約30万円の値幅で下落。
下落率としては約24%の下落となりました。
時期 | トリガー名 | BTC | 原因 | |||
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高値 | 下値 | 差額 | 騰落率 | |||
2011年6月~11月 | Mt.GOXショック | 1,400円 | 160円 | 1,240円 | -90% | ・取引所Mt.GOXのハッキング |
2017年9月2日~15日 | チャイナショック | 55万円 | 30万円 | -25万円 | -45% | ・BTCC閉鎖 ・中国政府ICO違法見解 |
2017年12月17日~22日 | 先物上場失望ショック | 220万円 | 145万円 | -75万円 | -45% | ・BTC先物情報 ・BTCドミナンス低下 |
2018年1月16日 | 韓・中FUDショック | 140万円 | 105万円 | -35万円 | -25% | ・韓国政府仮想通貨違法認定 |
2018年1月29日~2月5日 | Coincheck事件ショック | 125万円 | 80万円 | -45万円 | -35% | ・取引所Coincheckのハッキング |
2018年3月6日~10日 | BINANCEハッキングショック | 122万円 | 93万円 | -29万円 | -24% | ・BCHのハードフォーク |
2018年11月15日~18日 | BCH分裂ショック | 71万円 | 49万円 | -22万円 | -31% | ・BCHのハードフォーク |
チャート的には2017年末から続いてた最高値からの下落トレンドが2月に底を打って一時的な上昇トレンドを形成している最中に起きました。
結果的にこの暴落をきっかけに上昇トレンドは否定され、2018年4月頃まで下落が再度継続する形になりました。
この頃から、「仮想通貨の将来」を不安視する声が増して行ったように思います。
暴落のきっかけは、暗号資産取引所の「BINANCE(バイナンス)」が発端となっています。
この事件は日本時間の2018年3月7日23時58分に起きました。
Summary of the Phishing and Attempted Stealing Incident on Binancehttps://t.co/qC9gCgonng
— Binance (@binance) 2018年3月8日
まぁ、「ハッキング」と表現してはいるのですが、厳密にはBINANCE自体がハッキング被害にあったわけではなく、ユーザーが使用するAPIキーの盗難、そしてそのキーを利用した第三者による不正な仮想通貨の売買及び 外部送金未遂が当該事件のあらましです。
仮想通貨取引所のサービスを利用するにあたっては、ログインIDとパスワードを設定して、その情報をもとにサービスにログインして管理画面上で仮想通貨の売買や仮想通貨の外部への送金をするのが一般的です。
APIキーは、そのアカウントに外部からアクセスできるキーなのですが、盗まれてしまうことはすなわち「アカウントの明け渡し」を意味します。
これは、現実世界に置き換えると、現金をテーブルにおいたままにしている自宅の鍵を泥棒に渡してしまった…くらいのヤバさですw
この事案では、ハッカーはフィッシングサイトなどを使って、長い時間をかけてユーザーのAPIキーを盗み出していたようです。
結果、ハッカーは直接BINANCEを攻撃することなくユーザーがBINANCE内に保有している仮想通貨を自由にできる状況を作り出したというわけです。
なお、APIキーは発行時にアセット(仮想通貨資産)に関する権限を
など、個別に指定できる場合が多いのですが、今回窃取されたAPIキーはなんでもできてしまうフル権限のAPIキーだったようです。
ユーザーからAPIキーを盗み出したハッカーは、API経由でVIACOIN(VIA)という流動性の少ない通貨を大量購入し価格を意図的に高騰させBTCに換金、その後出金手続きを行いました。
VIAの大量購入からBTC出金手続き申請まではおよそ2分という短時間に行われました。
Binanceのリスク管理システムはVIAの大量購入を異常な取引として検知して全ての通貨の出金を停止させました。
同時にハッカーによって操作されたVIAも凍結しユーザーの資産がBinanceの外に流出することは防がれました。
全ての通貨の出金を停止させたBinanceは全ての預金残高、取引、出金記録を確認し、APIキーを盗まれていないアカウントの資産の安全を確認したうえで出金を再開させました。
また、凍結していたVIAについてはチャリティーに寄付し問題を収束させました。
公式発表でハッキングの概要を公表し被害があったことを包み隠さず明らかにすることでユーザーの不信感をできるだけ抑えるような対応をした点は現在でも高く評価されています。
Binanceが公式発表したハッキングの概要では少し長文ですが発生時刻やハッカーの取った行動やBinanceの対応が細かく記載されており、説明責任をしっかりと果たしていると言えます。
Summary of the Phishing and Attempted Stealing Incident on Binance(2018/03/08)
On Mar 7, UTC 14:58-14:59, within this 2 minute period, the VIA/BTC market experienced abnormal trading activity. Our automatic risk management system was triggered, and all withdrawals were halted immediately.
This was part of a large scale phishing and stealing attempt.
So far: All funds are safe and no funds have been stolen.
The hackers accumulated user account credentials over a long period of time. The earliest phishing attack seems to have dated back to early Jan. However it was around Feb 22, where a heavy concentration of phishing attacks were seen using unicode domains, looking very much like binance.com, with the only difference being 2 dots at the bottom of 2 characters. Many users fell for these traps and phishing attempts. After acquiring these user accounts, the hacker then simply created a trading API key for each account but took no further actions, until yesterday.
Yesterday, within the aforementioned 2 minute period, the hackers used the API keys, placed a large number of market buys on the VIA/BTC market, pushing the price high, while 31 pre-deposited accounts were there selling VIA at the top. This was an attempt to move the BTC from the phished accounts to the 31 accounts. Withdrawal requests were then attempted from these accounts immediately afterwards.
However, as withdrawals were already automatically disabled by our risk management system, none of the withdrawals successfully went out. Additionally, the VIA coins deposited by the hackers were also frozen. Not only did the hacker not steal any coins out, their own coins have also been withheld.
The hackers were well organized. They were patient enough to not take any immediate action, and waited for the most opportune moment to act. They also selected VIA, a coin with smaller liquidity, to maximize their own gains.
After a thorough security check by Binance, we resumed withdrawals. Trading functionality was never affected. There are still some users whose accounts where phished by these hackers and their BTC were used to buy VIA or other coins. Unfortunately, those trades did not execute against any of the hackers’ accounts as counterpart. As such, we are not in a position to reverse those trades. We again advise all traders to take special precaution to secure their account credentials.
Protecting our traders is and has always been our highest priority.
Thanks for your support!
Binance Team
ハッカーによって価格操作されたVIAの取引はBinanceが取り消したためどのような値動きをしたのかは現在見ることはできませんが、これもBinanceが資産の流出を未然に防いだ成果でもあります。
事態が収束したのは日本時間で3月9日なので今回取り上げている暴落の期間とほぼ一致しています。
さて、この裏で実はもう一つの相場暴落のトリガーとなりうつ「事象」が同時発生していたのはご存知でしょうか。
かつて、世界最大の暗号資産取引所であったMt.GOX。
本連載の『2011年6月 仮想通貨の消失を意味する「GOX」を生んだMt.GOX(マウントゴックス)事件』でも詳細に触れていますが、 2011年にハッキングを受け、同社は破産の憂き目にあっています。
さて、このMt.GOXが2018年…このBINANCEハッキングショックと同時期に話題にあがります。
破綻した仮想通貨取引所がいまさらなに?…といった感じですが、Mt.GOXはハッキング後もBTCを保有していたものの法人としての機能を停止したため、法律に基づき破産管財人の手によって資産管理がなされることになりました。
破産管財人の仕事は、簡単に言ってしまえば債権者…つまりは、資産をMt.GOXにあずけていたユーザーへの「適切な資産分配」です。
そして、なによりもビットコインの相場関係者にとって不幸だったのは、債権者に分配される資産は法定通貨(基本的には「円」)だったということなのです。
普段、我々は仮想通貨取引所に法定通貨「円」を入金して、仮想通貨を購入(交換)しています。逆に、手持ちの仮想通貨を法定通貨に戻して銀行口座に出金しようとした場合には、仮想通貨を売却(交換)しなければなりません。
Mt.GOXのウィレットに残ったビットコインも、法定通貨に変えるためには当然売り払わなくてはならなかったというわけです。
ニュース記事によると、「BINANCEハッキング事件」の約6ヶ月前からMt.GOXに残されたBTCの売却が行われており、2018年3月7日から8日にかけても売却された形跡がある・・・とのことでした。
売却されたビットコインの総額は440億円。
しかも、Mt.GOXに残されているBTC全体の25%程度にしかならず、まだ75%近くが売却待ちのステータスにある…ということだったのです(その時点の金額ベースでは残り約1,600億円相当とも言われていました)。
大量の金銭を動かして相場を制圧する者を海外では「鯨」と呼びますが、Mt.GOXの破産管財人は「東京の鯨」として恐れられることになります。
結果的に、この「いつ売りに出されるかわからない」…という、売り圧の警戒が暴落を助長する結果となってしまったのですね。
仮想通貨のシステム上、ハッキング被害を全て防ぐことは困難です。
特に、今回のBINANCEのように正規のユーザーに発行したAPIキーが外部流出してしまった場合、直接的な原因はユーザーにあるため、即座に対応することはできません。
今回のBinanceのように迅速な対応をしていても仮想通貨への不信感や警戒感から価格は簡単に大きく下落してします。
そして、Mt.GOXに端を発する「売り圧」のように"終わっていない事件"についての情報も注意しておく必要がありそうです。