QASH(キャッシュ)<$QASH>

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QASHに関する情報
シンボル QASH 正式名称 QASH
カテゴリ 取引所トークン 対応取引所数 29
現在価格 円 ($) 取引量(24h) 円 ($)
最大発行枚数 1,000,000,000枚 循環流通枚数 349,999,989枚
時価総額 円 ($) 還元方式
暗号方式 その他 承認方式

QASHはLiquid by Quoine(旧QUOINEX)が発行する取引所トークンで、ERC-20の技術規格に準拠した、イーサリアムのブロックチェーン上で動作するトークンです。

No 要素名 本記事上の呼称
1 暗号資産取引所 Liquid by Quoine(旧QUOINEX)
2 独自トークン QASH
3 独自プラットフォーム Liquid
4 運営会社 QUOINE(株式会社)

本記事は、Quoine社がICO発行したトークン「QASH」の説明記事ですが、QASHの話をしつつも、取引所、プラットフォームが絡み合うため、まずはじめに大枠として上記4つの要素がある点を一旦お伝えさせていただきます。

Liquid by Quoineとは?

Liquid by Quoineは、QUOINE株式会社(以下「QUOINE」)が運営する暗号資産取引所で、金融庁の認可(関東財務局 仮想通貨交換業 第00002号)を受けています。

暗号資産の交換業登録状況については、連載企画『はじめての仮想通貨のほうりつ』の下記記事をご参照ください。

「仮想通貨取引所」金融庁による厳格化4つの理由 > 仮想通貨交換業者の現在

QUOINEはもともと、2014年11月にシンガポールで設立し、仮想通貨取引所の事業を始めました。
同時に、日本にサービスを提供するために、QUOINEの株主が利用していたマンションの一室を借りて、日本での事業を開始しました。

2016年3月になると、本社を日本に移転。現在は日本だけでなく、シンガポールとベトナムに拠点を置き、グローバルに展開しています。

QUOINE株式会社のCEOである栢森加里矢氏についてですが、過去にソフトバンクグループに所属し、アジア営業や投資マネジメントに従事したという経歴を持っています。

Liquid by Quoineは2018年9月4日に、暗号資産取引所のQUOINEXとQryptosが統合して誕生しました。Cryptosとは、QUOINE株式会社が運営していた取引所でしたが、QUOINEXとの統合によって、現在はありません。

話がQASHの発行元が運営する取引所「Liquid by Quoine」…にそれてしまいましたね。

日本でのICO資金調達額最高額達成

さて、このQASHですが、2017年11月6日~11月8日までの3日間でICOを行い、当時の円ベースで124億円もの資金調達を成功させています。

QUOINE、ICOの資金調達額124億円に

仮想通貨取引所を運営するQUOINE(コイン、東京・千代田)が仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)で8日までの3日間で約124億円を集めたことが分かった。日本企業のICOとしてはテックビューロ(109億円)を抜いて過去最高。調達資金は海外取引所との提携などに充当する。

出典:『QUOINE、ICOの資金調達額124億円に』/日本経済新聞(2017/11/09)

[03] 日本でICOは違法?法律上の「仮想通貨(暗号通貨)」とICOの実施可能要件を探る』の記事でも解説していますが、現在の日本でICOを行うには、暗号資産の交換事業者として金融庁財務局からの認可が必要であり、現状許可なく大規模なICOによる資金調達は難しい状況となっています。

そんな状況でありながらも、

  • 暗号資産交換業者の登録
  • 金融庁のホワイトリスト登録

といった手続きをきちんと踏んでICOの実施に至ったQASH(というか発行元のQUOINE)は手堅い…という印象があります。

DAppsトークン「QASH」の特徴

QASHの特徴にふれる場合

  • 機能面
  • 実用面

上記2つに分類して、その特徴を把握する必要があります。

機能面では、冒頭でも触れた通りイーサリアムの「ERC-20」の技術規格に準拠しているDAppsであり、基本的にイーサリアムが受けられる恩恵はQASHでも享受できるのが大きな特徴と言えるでしょう。

実用面においては、Liquid by Quoineが提供するプラットフォームサービス「Liquid」で利用されることを前提とした設計になっており、「Liquid」の展開次第でその役割は変わってくることになりそうです。

ちなみに、QUOINEの発表によれば、「Liquid」の役割は

  • 世界中の取引所の注文統合
  • オーダーブック(注文・価格)の一元化
  • 暗号資産の流動性(取引量の多寡)の課題解決

を達成することで、『取引所ごとの価格や取引量の「差」に悩まされることなく、同一条件に基づいた暗号資産の売買を可能にする』としており、世界中の取引所のオーダブックを【World Book】として統合することを目指しているようです。

確かに、取引所によっては売買したくても、取引量が少なく如何ともし難い…という問題は散見されるので、「流動性」の問題を解決する…という点は大いに意義があるように思われます。


「Liquid」プラットフォームについては、上記公式動画が公開されておりますので、ご覧いただくと理解が深まって良いかもしれません。

どのようにしてWorld Bookを実現するのか?

【画像】
https://www.liquid.com/

公式サイトには、World Bookの実現にあたって

  • マッチングエンジン
  • スマートオーダールーティング
  • クロスカレンシーコンバージョンエンジン

上記のテクノロジーで解決する…ということが書かれています。

なお、2018年7月8日にQUOINEのCTOアンドレ氏によって「multi Market Order[マルチマーケットオーダー]」のデモ動画が公開されました。


板情報がゴリゴリと動いているのがわかります。

API提供している暗号資産取引所ごとにQUOINEのAPIキーで接続して、LIQUIDユーザーの売買注文を一元化(とりまとめ)して取引を実現してるんですかねぇ。

[Liquidユーザー]→[売買発注]→[QUINEが集約]→[APIでQUOINEが売買]

もし、上記図式での取引フローになるようであれば、APIキーを使った売買を提供している取引所に限定されることになりそうです(個別にAPIをあけてもらえばどの取引所でもいけますが…)。

│QASHはどのように使われ得るか?(予想)

ここから先は、あくまでも予想ではありますが、とにかく高速での売買注文のマッチングが重視されているようなので、DEXのように

  • 売買の発注時
  • 売買確定時

上記における情報をブロックチェーンに書き込む…ということは無さそうかなと予想しています。オンチェーンになればなるほど、時間がかかることになりますから。

一方で、2019年4月23日にローンチした暗号資産取引所BINANCEの分散型取引所『BINANCE DEX』は、元々ERC規格で発行していた取引所トークンの「BNB(Binance Token)」を独自規格でネイティブトークン化して、「Binance Chain」上に展開するようになっています。

CEX/DEX/Liquidの取引所種類別のブロックチェーンとの関わりについて

中央集権型取引所(CEX) 分散型取引所(DEX) Liquid
※以下予想
板情報の記録 オフチェーン オフチェーン (多分)オフチェーン
売買の記録 オフチェーン オフチェーン (多分)オフチェーン
独自トークン(取引所トークン)の採用規格傾向 EthereumのERC規格 プラットフォーム系仮想通貨(BitShares/BNB[nateive]) EthereumのERC20規格からnativeブロックチェーンへ移行予定
売買発注情報(板情報)の共有性 外部非共有 プラットフォーム仮想通貨単位で共有
売買確定情報の共有性 外部非共有 プラットフォーム仮想通貨単位で共有

BitFlyerやCoincheckのような中央集権型取引所(CEX)の取引は基本的に「オフチェーン」…いわゆるセカンドレイヤーでの処理となっています。

一方で、分散型取引所(DEX)は、ブロックチェーン上に記録する「オンチェーン」での処理が一般的であり、基本的な取り決めはスマートコントラクトで処理・・・という感じで、これぞブロックチェーン!と言えます。

さて「Liquid」はどうなのか?というと、取引のマッチングを高速化するために、「板情報の記録」「売買の記録」はオフチェーンかな?といった感じなのですが、QASHをEthereumのERC-20から独自規格への移行(LQC[Liquid Coin]へのリブランディングを実施し、Liquidプラットフォームへの統合)を考えている…と2019年2月に発表されていたので、各種データをオンチェーンにしつつ、DEXで使われているような【プラットフォーム型トークン】を目指すのかなぁ、と予想しています。

オンチェーンにすると、コンセンサスアルゴリズムに基づいたネットワークユーザーの承認が必要になるため、ブロックチェーンに登録されるまでに時間がかかることになります。

もし、DEX化を図るのであるとすると『高速マッチングを目指してるのに矛盾してない?』という話もありますが、そのあたりは同じ取引所を運営するBINANCEの「Binance Chain」が上手いこと進めてまして、

ネットワークコンファメーション(Confirmation)の比較
Bitcoin(BTC) 10分
Ethereum(ETH) 20秒
Ripple(XRP) 4秒
BINANCE Token(BNB)/binance chain 即時

上記表のような感じで、「即時承認」がなされる…とCEOのChangpeng Zhao氏が公表しています。これをみると、QASHも同様の道を歩むのでは…ということが容易に想像できます。

ちなみに、こんなことを言うのもナニなのですが、「え?じゃあ、QASHじゃなくてBNB買ったほうがいいんじゃ…」というのは無粋でしょうかw

まぁ、BNBは分散型取引所(DEX)での活用。QASHはLiquidにおけるWorld Bookの供給(の何らかの活用)・・・ということで、立ち位置というか目的は異なりますので容易には比較できないということで。

現状、QASHを保有することによるメリット

海外居住者 日本居住者
取引手数料の割引 ×
レンディング ×

暗号資産取引所の「Liquid by Quoine」では、通常の取引手数料は無料となっているのですが、ポジション料とロスカット手数料は有料となっています。

ポジション料とは、レバレッジ取引のときに発生する手数料で、注文してから8時間が経過する毎に、0.025%の支払いが発生します。また、ロスカット手数料は、差し入れした証拠金が不足した際のロスカット(強制決済)発生時に、0.2%の支払いが発生するというものです。

これら、有料の手数料がQASHを利用することで割引になる…とのことなのですが、基本的に日本居住者は適用されません。

また、QASHのレンディング(貸付による利息収入)サービスもあるのですが、こちらも日本居住者は利用できません。
QASHについては、金融庁の指定する「ホワイトリスト」にリストアップされているので、QASH自体には問題はないようなのですが、取引所のLiquid by QUOINEが行政処分を過去に受けており、日本向けの体制が整うまでペンディングとしているように思います。

というわけで、日本居住者によるQASH保有については「将来性を買う」ことが勾配理由のメインになりそうです。

QASHの価格推移

【画像】 出典:『キャッシュ/QASH (QASH)』/CoinGecko

2017年11月24日の売り出し当初、QASHの価格は54円をマークし、その後仮想通貨の全体的な高騰によって、2018年1月13日に284円の値が付きました。
しかし、直後にコインチェックによる580億円相当のNEM流出事件が引き金となり、仮想通貨の全体的な暴落の影響を受けて、かなりの値を下げました。

現在のQASHの価格が16円となり、横ばいが続いています。


ちなみに、hubexchangeでは仮想通貨全体の条件検索が可能な「仮想通貨検索」サービスを提供しています。
上記画像のような形で、直近の時間別価格のほか、ATH(全期間最高値)の価格などもご覧いただけます(ATHについては、当時の為替レートをもとに算出)。

NEMの大量流出を招いたコインチェック事件については、連載企画「仮想通貨ハッキング探偵」の『[03] CoinCheck事件』に詳しく掲載しています。

QASHに関するTwitterの反応






QASHの将来性

QASHがLQCにリブランディングを行うことで、イーサリアムのブロックチェーン上から離れ、独自ブロックチェーン上での稼働を予定しています。

Liquid by Quoineについても、高い将来性を秘めており、ワールドブックの開発と発展が進めば、仮想通貨売買の高い流動性を安定的な維持が見込まれ、どのような国や場所にいようとも、公平性の高い仮想通貨の売買が期待できます。

QASHとLiquid by Quoineに関する今後の動向に注目です。

QASHを取り扱っている日本の取引所一覧(2019-05-19)

取引所名 取扱通貨 手数料
BTC  ETH  LiteCoin ETC XEM  BCH(ABC)  BCH(SV) XRP  MONA QASH Maker  Taker 
BitFlyer  × × × × 0.01 ~ 0.02%
BTC/Altcoinで異なる
Coincheck × × × 0% 0%
SBI VC × × × ×
2019年6月28日廃止
× × 0% 0%
DMM Bitcoin  × × × 0% 0%
GMOコイン  × × × × -0.01% 0.05%
FISCO × × × × × × × 0 ~ 0.3%
BTC/Altcoinで異なる
Liquid by QUOINE × × × × 0% 0%
Bitbank × × × × × × -0.05% 0.15%
Bitpoint × × × × × -0.01% 0.05%

日本の取引所の暗号資産別取引手数料率(現物)の一覧(2019-05-19)

取引所名 取扱通貨
BTC  ETH  LiteCoin ETC XEM  BCH(ABC)  BCH(SV) XRP  MONA QASH
BitFlyer  Maker 0.01~0.15% 0.2% 0.2% 0.2% × 0.2% × × 0.2% ×
Taker 0.01~0.15% 0.2% 0.2% 0.2% × 0.2% × × 0.2% ×
Coincheck Maker 0% 0% 0% 0% 0% 0% × 0% × ×
Taker 0% 0% 0% 0% 0% 0% × 0% × ×
SBI VC Maker 0% 0% × × × ×
2019年6月28日廃止
0% × ×
Taker 0% 0% × × × ×
2019年6月28日廃止
0% × ×
DMM Bitcoin  Maker 0% 0% 0% 0% 0% 0% × 0% × ×
Taker 0% 0% 0% 0% 0% 0% × 0% × ×
GMOコイン  Maker -0.01% -0.01% -0.01% -0.01% × -0.01% × -0.01% × ×
Taker 0.05% 0.05% 0.05% 0.05% × 0.05% × 0.05% × ×
FISCO Maker 0% × × × × 0.3% × × 0.1% ×
Taker 0.1% × × × × 0.3% × × 0.1% ×
Liquid by QUOINE Maker 0% 0% 0% × × 0% × 0% × 0%
Taker 0% 0% 0% × × 0% × 0% × 0%
Bitbank Maker -0.05% -0.05% -0.05% × × -0.05% × × × ×
Taker 0.15% 0.15% 0.15% × × 0.15% × × × ×
Bitpoint Maker 0% 0% 0% × × 0% × 0% × ×
Taker 0% 0% 0% × × 0% × 0% × ×
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hubexchangeのメディア部門を担う「編集部」の公式アカウントです。 編集長はもぐらいだー(ikenaga)。ハッキングされた取引所の事象発生から現在までを追う「ハッキング探偵」などの企画立案や執筆時マニュアルの策定などの編集部内外の標準化ツールの整備に注力中。メディア事業に興味があるアシスタント希望者求む!
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